親の介護が不安なあなたへ|介護サービスの仕組み・種類・使い方をやさしく解説

親の介護が必要になったら、何をしたらいいの?介護って自分たちでしなくちゃいけないの?介護サービスってどうやって使うの?・・・事前に予測ができていたとしても、いざ現実となるとわからないことってありますよね。自分たちの生活にも大きく関係しますので、不安が大きくなる方もいると思います。この記事では、初めて親の介護に直面している方やこれから準備を始めようとする方に向けて、介護サービスの仕組みや種類、使い方についてご紹介しています。複雑に感じやすい部分には図表を使い、わかりやすく解説しています。また、具体例も書いていますので、ぜひ最後までご覧いただき少しでも安心して介護と向き合っていただきたいです。

親の介護が必要になったとき、最初にするべきことは「情報収集と気持ちの整理」です。
慌ててしまう気持ちは理解できますが、落ち着いて状況を把握し、適切な手順を踏むことで、家族みんなが安心して支え合える介護のスタートが切れるからです。

【図解】まずは落ち着いて状況整理から

最初にやるべきことは、以下の3点です。

  1. どのような支援が必要かを確認
    食事・排泄・移動など、不安な点や必要な支援の程度を主治医に確認して明確にしましょう。
  2. 本人の希望を聞く
    自宅での生活や施設への入所など、どのような生活の仕方を希望しているのか、本人の意思を丁寧に確認しましょう。
  3. 家族の状況を整理する
    誰がどのくらい関われるのか、仕事との両立は可能かなど、経済面も含めて話し合いましょう。

この整理が、後の「介護サービスの選択」に大きく関わってきます。

介護サービスにはさまざまな種類があり、大きく分けて以下の3つの分類があります。
それぞれに特徴があり、被介護者の状況や家族の希望に応じて最適な組み合わせを選択できます。

在宅サービスを利用し自宅で生活を継続する

在宅サービスは、住み慣れた自宅での生活を継続しながら、支援を受けられるサービスです。

例えば、週に数回の訪問介護で日常生活の支援を受けつつ、デイサービスで入浴や機能訓練を受けるという組み合わせが可能です。主に以下の種類があります。

  • 訪問介護:
    訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、日常生活のサポートを行う
  • 訪問看護:
    看護師や理学療法士などが訪問し、医療面でのサポートをしてくれる
  • 通所介護(デイサービス):
    日中は施設で入浴や食事、リハビリを受けながら、夜は自宅で過ごすことができる
  • 短期入所生活介護(ショートステイ):
    短期間施設に入所し、食事や入浴などの介護サービスを受けることができる
  • 福祉用具の貸与:
    日常生活をより安全に、自立して送れるようにするための福祉用具をレンタルするサービス

このように、在宅サービスは必要な部分のサービスを選択することが可能です。

施設サービスを利用し施設で安全に生活する

要介護度1以上の方で、自宅での生活が難しい場合には、入所施設の利用が安心して生活できる選択肢となります。施設サービスは、24時間体制での介護や医療などの専門的ケアが継続的に受けられ、家族の介護負担を大幅に軽減できます。

  • 介護老人保健施設(老健):社会福祉法人や地方自治体が運営する公的施設
    病院での治療を終え、病状は安定しているものの、自宅に戻るには継続的なリハビリや医療ケアが必要な方が一時的に入所する施設
  • 特別養護老人ホーム(特養):社会福祉法人や地方自治体が運営する公的施設
    要介護3以上の方が長期的に安心して生活を送るための、看取りにも対応した施設
  • 介護医療院:医療機関が運営する施設
    長期にわたり療養を必要とする要介護1以上の方に対し、常駐している医師や看護師による充実した医療ケアと介護を一体的に提供する施設

このように施設サービスは、自宅での生活が難しく、中長期にわたる専門的なケアの継続を必要とする場合に適しています。

地域密着型サービスを利用し生活に安心感を

地域密着型サービスは、住み慣れた地域での生活を継続しながら、きめ細かなケアを受けられるサービスです。地域の特性を活かした柔軟なサービス提供により、本人と家族の安心感を高めることができます。

  • 小規模多機能型居宅介護:
    デイサービス・訪問介護・ショートステイの3つのサービスを、同じ事業所の顔なじみの職員が一体的に提供する施設サービス
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム):
    認知症の高齢者が少人数で支援を受けながら、簡単な調理や掃除などの日常生活での役割を継続し、のびのびと穏やかに共同生活を送ることができる施設サービス
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護:
    利用者の自宅に定期的に訪問し、また、利用者の要請があれば随時対応する、訪問介護と訪問看護を一体的に提供する在宅サービス

その他に、以下のサービスもあります。

 在宅サービス

  • 夜間対応型訪問介護
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 療養通所介護

 施設サービス

  • 看護小規模多機能型居宅介護(旧複合型サービス)
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

このように、地域密着型サービスは地域の特性を活かした柔軟なサービス提供です。多彩な組み合わせによって本人の生活歴や価値観を尊重したケアが期待できます。

適切な介護サービスを選択するためには、まず介護を受ける本人の意向を最優先に考えることが重要です。本人の希望や価値観を尊重することで、より質の高い介護生活を実現できるからです。

介護サービスを受ける本人の意向を聞く

まず、どこでどのような生活を送りたいか、何を大切にしたいかを本人から直接聞き取りましょう。認知症がある場合でも、本人なりの思いや感情は存在するため、表情や行動からも意向を読み取ることが重要です。

また、家族との関わり方、趣味や楽しみ、友人との交流など、生活の質に関わる要素についても話し合います。これらの情報をもとに、本人らしい生活を継続できるサービスを選択することで、満足度の高い介護生活を実現できるでしょう。本人が「このサービスなら安心できる」と感じられることを中心に利用するサービスを考えていきます。

【事例】Aさんが選択した介護サービス

78歳のAさんは軽度の認知症と膝の痛みがあり、要介護2の認定を受けました。

「できる限り自宅で過ごしたい」という本人の強い希望と、娘さんが仕事を続けながら介護したいという、家族の要望を両立させる必要がありました。

ケアマネージャーと相談した結果、以下のサービス組み合わせを選択しました。

  • 週2回の通所介護で入浴と機能訓練
  • 週1回の訪問介護で掃除と買い物の支援
  • 月1回のショートステイを利用し、娘さんのリフレッシュ時間を確保
  • 住宅改修費を活用して手すりを設置
  • 歩行器をレンタルし、自宅での安全性を向上

この組み合わせにより、Aさんは自宅での生活を継続しながら、必要なケアを受けることができ、家族の負担も適切に軽減されました。

このように、介護は複数のサービスを組み合わせることが可能です。

介護サービスを利用する際には、一定の手順があります。

ここでは、5つの手順でご紹介します。

1、ケアマネージャーを見つけよう

まずは、ケアマネージャー(介護支援専門員)に出会うことが第一歩です。

ケアマネージャーは、介護サービスの計画(ケアプラン)作成や事業所との連絡調整を行ってくれる心強い味方です。また、ケアプランの作成は、ケアマネージャーの重要な役割です。

例えば、ケアマネージャーを見つける方法は複数あります。

  • 市町村の介護保険課や地域包括支援センターで紹介してもらう
  • 居宅介護支援事業所に直接連絡する
  • 医療機関のソーシャルワーカーからの紹介
  • 知人からの紹介

このようにいくつかの方法がありますので、ご自身の状況に応じた方法を選択してみてください。

2、どの程度の介護が必要?認定を受けよう

介護認定は、介護サービス利用の前提となる重要な手続きです。主治医の意見書と認定調査員による訪問調査をもとに、適切なサービスを判断するための審査を行います。

具体的な内容は以下の通りです。

  • 介護者は市町村の介護保険課にて、申請書、介護保険被保険者証、主治医意見書などの書類を提出して申請する。
  • 申請後、認定を受ける本人が「認定調査」という認知面を確認するための複数項目にわたる問診や、身体状況の確認を受ける。本人の状態により、30分から1時間程度は時間を確保しておくと良い。
  • 判定結果は要支援1・2、要介護1〜5までの合計7段階で、介護保険内で使用可能なサービスの種類や量が異なる。認定には通常1か月程度かかるが、申請日から暫定的にサービスを利用することも可能。

このように、要介護認定は適切なサービスを利用するために必要な手続きです。

初めての場合は特に、ケアマネージャーに協力してもらうことをおすすめします。

3、利用するサービスを決定しよう

要介護認定を受けた後は、具体的に利用するサービスを決定します。介護計画を作成するために重要な要素となるからです。ケアマネージャーに相談しながら、本人と家族の希望、身体状況、生活環境を総合的に考慮して最適なサービスを選択することが重要です。

例えば、自宅での生活を継続したい場合は在宅サービスの利用を中心に検討します。もちろん、本人の意向を優先するとはいえ、家庭の状況と相容れない場合もあります。その際は、知識豊富なケアマネージャーの力を借りて、落としどころを見つけましょう。


また、利用料金も考慮する必要があります。介護保険の支給限度額を超えた部分は全額自己負担となるため、経済状況に応じた現実的なプランを立てることが大切です。

このように、利用する介護サービスの決定は、これから始まる介護生活にとって重要な手順です。多少時間がかかっても、利用者本人と介護する家族にとって最善の内容を選択をしたいものです。

4、介護サービスの計画を立ててもらおう

介護サービスの計画のことを、ケアプランまたは居宅サービス計画といいます。利用するサービスの内容や回数などを具体的に決めて、支援をスタートするために必要です。ケアマネージャーが、本人と家族との面談を重ね、利用者の心身の状況や希望を踏まえて、生活上の課題や目標を明確化し詳細に計画します。

例えば、デイサービスを週4回、訪問介護を週3回利用する場合、各利用日や時間を週間スケジュールとして具体化していきます。本人と家族の希望や目的に合った、課題解決に必要なサービスを提供できる事業所を紹介してくれますので、その中からサービスを選定し、計画してもらいましょう。医療機関との連携や緊急時の対応方法も含めて包括的に計画してくれます。

また、ケアプランは定期的に見直しが行われ、本人の状況変化や家族の要望に応じて修正されます。この柔軟性により、常に最適なケアを提供することが可能です。

このように、ケアプランがあることで、利用者本人も家族も最適なサービスを受けることができます。

5、事業所や施設と契約を結ぼう

ケアプランが決定したら、実際に介護サービス支援を受けるために、サービスを提供する事業所や施設と契約を結びます。契約により、提供されるサービス内容、料金、利用条件などがより明確になります。

具体的には、気になった事業所や施設を見学して、設備やスタッフの状況、他の利用者の様子などを確認し、比較することが可能です。

そのうえで契約の際は、以下について十分に説明を受けましょう。

  • サービス内容の詳細
  • 利用料金の仕組み
  • キャンセル規定
  • 事故やトラブル発生時の対応 など

また、契約後もサービス内容に疑問や不満がある場合は、ケアマネージャーに相談できます。必要に応じて事業所の変更も可能ですので、遠慮せずに相談することが重要です。

このように、事業所や施設と契約を結ぶことで実際の介護サービス支援が開始されます。

親の介護において最も大切なことは、家族が無理をしないことです。介護は長期間に及ぶ可能性があり、介護をする家族が心身ともに疲弊し、生活が崩れてしまうことを防ぐためです。

介護保険制度は「その人らしい生活を支援する」ことを目的として設計されています。すべてを自分たちだけで抱え込むのではなく、プロのサポートを受けながら、時には介護から離れて心身の休息時間を確保し、持続可能な介護を目指すことが重要なのです。

介護サービスを大きく分けると、在宅、施設、地域密着型の3つがあり、それぞれに多様なサービスが用意されています。各サービスを適切に組み合わせることで、本人の希望を叶えながら家族の負担を軽減することが可能です。

「どのサービスが良いか分からない」「今の状態に合っているか不安」という場合は、迷わずケアマネージャーや行政の窓口に相談しましょう。

介護保険制度は社会全体でのサポート体制が整っているので、遠慮することなく必要なサービスを利用してください。

とはいえ、まずは落ち着いて状況や情報の整理から始めてみましょう。話が進むにつれて、介護を受ける本人にとっても、介護をする家族にとっても、できる限り負担が少ない方法にたどり着けるはずです。